001-020
冷たい手が頬に触れて、思わず涙が溢れた
世界は決して美しくはないけれど、僕は恨んだことはない
奇蹟は伸ばした手の指先より少しだけ先に
水に映る空を浮かぶ花弁ごと掬って
出逢いと別れは同時に起こる
笑うあなたにどうして泣けと云えるだろう
鏡の欠片にも光が反射するように
世界中のどんな言葉を用いようとも
コバルトブルーに溶けてゆく飛行機雲を見上げて
蜜柑色に染まったグラウンドから影をおくる
散撒いた絵の具は世界の崩壊を意味した
私は貴方が思う程優しい人間じゃない
その優しさが私を傷つけるということを(貴方は知らない)
モノクロームの記憶を色鉛筆で彩ったなら
突きつけられた絶望が希望に思えた
期待しても無駄だと知っていたはずなのに
最後に見た朝焼けの色が瞼の裏に焼きついて
星座をつくる星たちは宇宙では孤独なのだと
君のラブソングが別れの言葉に聴こえた
明日があると誰が約束したのだろう
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